分析結果に騙されないために『マーケティングリサーチとデータ分析の基本』を読んだ
マーケティング手法を知ってアイカツ!分析の幅を広げようということで、マーケティング関連書籍を読んでいる。
この本はマーケティングでも『デジタルマーケティングの教科書―5つの進化とフレームワーク』とはちょっと違い、マーケティング手法について詳細に記載されているわけではない。
どちらかというと、その前段の「分析の目的は何か」「どのように調査するのか」「調査手法を決めるときに気を付けること」など、手法よりも前段の話がメインとなる。
マーケティング手法を勉強したいというのではれば不向きだけど、この本を読むことで分析結果を見定めるためのヒントが書いてあると思う。
これを読むとサンプル数など統計の基礎的な考えと、数字でだまされないようにするにはという観点が身に着けられるのかなと。
よくネットに上がってくるような円グラフのパーセンテージとグラフ描画とか、本当に正しいのか判断するには乏しい情報をいかに見定めるかは知っておいて損はない。
- 作者: 中野崇
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2018/04/08
- メディア: 単行本
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以下読んだ時のメモ。
目次
第1章 なぜ今、ビジネスにおけるデータ活用が必要なのか
第2章 リサーチ・データ分析の始めかた
第3章 よく活用されるインターネットリサーチとインタビュー調査
第4章 仮説思考の重要性
第5章 データを分析し、アクションにつなげる
第6章 マーケティングリサーチの最前線
データドリブンマーケティング
睡眠時間も図れるし自分の集中度合いすら計測できる今は、自分たちの生活すべてライフログとして習得可能になっているといって差し支えない。それらを自分たちが望む/望まないにかかわらず収集されて、分析、マーケティング施策の情報として使われている。
これがデータドリブンマーケティング。
これをやるためにはデータを蓄えていかないといけないし、データがあっても信頼性や妥当性が必要。
分析するために抑えるべき5つの観点
分析するには何を調査するのかを決めなければならない。俺がやっている分析であれば、「アイカツ!」シリーズのCD売上だったり。
それにあたって必ずやらなければならないのは、「仮説を考えること」。
仮説のない調査は失敗する。というかそもそもこれがないと、何を集めないといけないのかすらわからない。
分析するために抑えるべき5つの観点
①分析目的
②比較
③構造・構成
④関係性
⑤分布
分析目的を見据えたの上でどう調査項目を考え、AIDAMA,AISASなどの構造で仮説を落とし込み、関係性や分布から分析を行っていく。
分析目的を達成するために何を調査するか
調査は課題解決のインパクトの大きいものから着手するのが鉄則。
分析しやすいものから着手すると、調査結果から得られるものも小さい。
調査項目を作成する視点
①調査目的に合致した目的を設定する
②「分析の視点」に用いる項目を組み入れる
③消費者の購買行動に関するメンタルモデルを参考にする
④調査仮説を項目に落とし込む
①調査目的に合致した目的を設定するについて、考えると考えるだけ項目がでてくるので、その中に不必要な項目がも紛れ込んでいるので、目的に不必要なものは弾く。
俺の場合、何かしらの分析をひとしきりした後、ブログに書く場合に、そういう状況に遭遇する。
書いていて、軸がずれているなと思える状況。
それを無理やり入れると後から見返したときに、前段の内容と論点がずれていないか?って思うことがある。
そういうものは弾いてやらないと目的をぼやかせてしまうので、別のエントリで書いてしまったほうが良い。
データ収集の罠
その情報が本当に信頼できるの?問題。「数字はうそをつかなくても、嘘つきは数字を使う」。
罠に陥らないために
①リサーチの目的が明確化されているか
②数値やグラフが引用されていたら5W1Hがあるかチェック
③信頼できる情報ソースであるか
サンプルサイズとサンプル数の違い
母集団と標本調査、サンプルサイズとサンプル数の違い。全体の回答者数(サンプルサイズ)の決めることを割り付け設定という。
よく使われる割り付け方法が「均等割り付け」と「母集団構成比にあわせた割付」
男性30、女性20だと回答者数が異なるので、数字の持つ信頼度が低下する。
信頼性:
同じ条件下で同じ調査を実施した場合に、同じような結果が得られるか
→調査会社が異なる、調査対象が異なる場合に信頼性を損なう可能性がある
安定性:
同じ対象者に同じ条件下で調査を実施した場合に同じ結果が出るか
→可能な限り誤差を少なくする回答数(サンプルサイズ)
一貫性:
同じ対象者が同じ質問に対して同じような答えをするか
妥当性:
自分が把握したい内容がその調査で明らかになるか。
→リサーチ結果が自分が把握したい内容に即しているのか。達成できる手法や調査設計になっていなければならない。
分析する場合、誰が回答していて、誰が回答していないのか、集計範囲はどうなっているのか、全体はどれになるのかを確認。
集計範囲が部分的だった場合、上記が満たされていない。
定量調査と定性調査
定量調査と定性調査は補完関係にある。どちらかが良いというのはなく効果的に使用できる場面がそれぞれある。定量調査:
傾向・割合・ボリュームなど調査結果が「数値」であらわされる調査
市場やターゲットの大まかな傾向を早く把握する際、仮説検証、広告の効果測定に利用
定性調査:
数値に現れない個人の気持ちや思いを言葉で把握する。
仮説の発見、構築に利用される。
インタビュー調査
回答者が回答しやすい雰囲気や聞き方に気を配ってインタビューフローを策定する。①アイスブレイク
②インタビュー項目を、回答者が答えやすい順番へ並べ替える
- 「過去→現在→未来」
- 「一般論→個別論・具体論」
- 「単純な質問→複雑な質問」
- 「事実に関する質問→意識に関する質問」
- デリケートな質問は中旬以降で設定
何を質問すればいいかわからない、どう考えればよいかわからない、その場合は大体能力不足ではなく、対象への知識・理解不足がボトルネック。
質問形式
オープンクエスチョン
利点:相手に自由な発想を促せるのでフラットで幅広い意見を集められる
欠点:相手の回答負荷が高い
クローズドクエスチョン
利点:こちらの仮説・意見を手早く確認できる
欠点:連発すると詰問された印象になる
チャンクダウン(掘り下げる)
利点:掘り下げることによって課題や意見の本質が明確になる
欠点:対象者が考え切れていない場合誘導につながりやすい
チャンクアップ(話の粒度を上げる)
利点:視点を上げることで課題の範囲が明確になる
欠点:まとめ方難しい
スライドアウト(話の変更)
利点:幅広い意見を柔軟に聞くことができる
欠点:連発するとインタビューが散漫になり相手が不快感を覚える。
Norm(ノルム)値
過去の結果の積み重ねによって策定された基準値。https://www.neo-m.jp/word/index_detail.php?word_no=464www.videor.co.jp
NPS(ネットプロモーションスコア)で推奨度を測定
企業ブランド商品サービスが顧客からどの程度愛着や信頼を得ているかを推奨度という考え方を用いて測定する指標。
複数の顧客に対して調査を行い、推奨者の割合から批判者の割合を引くことで得られる数値がNPS(ネット・プロモーター・スコア)と呼ばれ、-100% 〜 100% の間の数値で表される。
例えば、10人中6人が9点以上なら、推奨者は60%、6点以下が2人いれば批判者は20%なので、NPSは+40となる。平均的にはNPSが12ポイント増加すると、企業の>成長率が倍増すると言われ、問題解決のための施策を行った際に、前後調査で数値を見る場合には非常に有効である。
ネット・プロモーター・スコア - Wikipedia